誤っている記述は(2)である。同一材料・同一線間電圧V・同一送電電力P・同一距離・同一損失という条件のもとで、単相2線式と三相3線式の電線総重量を比較すると、三相3線式の方が軽くなり、両者は同等にはならない。
令和6年度 上期 第三種電気主任技術者 電力 問11
送配電方式として広く採用されている交流三相方式に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
選択肢
解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
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解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
詳細Layer 2展開閉じる
両方式とも同じ力率とし,ここでは計算を簡単にするため力率1とする。同じ力率で比較する限り,重量比3/4は力率によらない。
補足Layer 3展開閉じる
単相2線式:電流 I₁ = P/V。1線あたりの抵抗をR₁とすると2線分の損失は 2I₁²R₁。
三相3線式(同じ力率1):線電流 I₃ = P/(√3V)。1線あたりの抵抗をR₃とすると3線分の損失は 3I₃²R₃。
両者の損失を等しいとすると 2I₁²R₁ = 3I₃²R₃ より R₁/R₃ = (3I₃²)/(2I₁²)。
電線の重量は電線の断面積(=導電材料の使用量)と線数の積に比例し、長さ・比抵抗が一定なので、抵抗Rと断面積Aは A ∝ 1/R の関係にある。したがって重量比は
W₃/W₁ = (3/R₃)/(2/R₁) = (3/2)×(R₁/R₃) = (3/2)×(3I₃²)/(2I₁²) = (9/4)×(I₃²/I₁²)
I₃/I₁ = [P/(√3V)]/[P/V] = 1/√3 なので I₃²/I₁² = 1/3。
ゆえに W₃/W₁ = (9/4)×(1/3) = 3/4。
つまり三相3線式で必要な電線総重量は単相2線式の3/4(75%)であり、「同等」ではなく三相3線式の方が軽くなる。これは送配電で三相方式が広く採用される代表的な理由の一つであり、記述(2)の「同等である」は誤り。
各選択肢の解説
- (1)
電源側をY結線としたうえで、中性線を施設して三相4線式とすると、線間電圧と相電圧の両方を容易に取り出して利用できるようになる。
正しい。三相電源をY結線とし中性線を設けて三相4線式にすると、各相と中性線の間からは相電圧(Y結線の各巻線電圧)を、任意の2本の相線(電力線)の間からは線間電圧(相電圧の√3倍)を、それぞれ独立に取り出せる。実際に低圧配電で広く用いられる方式であり、記述内容は妥当。
- (2)
同一材料の電線を使用して、同じ線間電圧で同じ電力を同じ距離に、同じ損失で送電する場合に必要な電線の総重量は、三相3線式でも単相2線式と同等である。
誤り(これが正答)。本文の計算のとおり、同一線間電圧・同一電力・同一距離・同一損失の条件では、三相3線式に必要な電線総重量は単相2線式の3/4(75%)であり、両者は同等ではない。三相3線式の方が電線材料を節約できることが、三相送電が広く採用される合理的な理由の一つである。
- (3)
回転磁界が容易に得られるため、動力源として三相誘導電動機の活用に便利である。
正しい。三相交流を三相巻線に流すと自然に回転磁界が生じるため、回転磁界により自己始動トルクを得られ、三相誘導電動機は構造が簡単で保守性も高い。動力源として広く利用されている理由として妥当な記述。
- (4)
三相回路が平衡している場合、三相交流全体の瞬時電力は時間に無関係な一定値となり、単相交流の場合のように脈動しないという利点がある。
正しい。三相回路が完全に平衡している場合、各相の瞬時電力の和(a相・b相・c相の瞬時電力の合計)は時間tに依存しない一定値(=1相あたりの平均電力の3倍、すなわち三相全体の平均電力 3VpIp cosφ)となることが三角関数の加法定理から導かれる。これに対し単相交流の瞬時電力は電源角周波数の2倍の周波数で脈動する。したがって三相は脈動がないという利点があるという記述は正しい。
- (5)
発電機では、同じ出力ならば、単相の場合に比べるとより小形に設計できて効率がよい。
正しい。同一出力なら、三相発電機は巻線と鉄心を効率よく利用でき、単相機より小形かつ高効率に設計しやすい。平衡三相の瞬時電力が一定であることは主にトルク脈動の低減に寄与する。
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