線路は無負荷なので短絡前には電流が流れておらず、短絡後に母線から故障点へ流れるのは (a) の短絡電流だけである。
令和7年度 上期 第三種電気主任技術者 電力 問16(b)
変電所に設置された一次電圧 66 kV、二次電圧 22 kV、容量 50 MV·A の三相変圧器に、22 kV の無負荷の線路が接続されている。その線路が、変電所から負荷側 500 m の地点で三相短絡を生じた。
三相変圧器の結線は、一次側と二次側が Y-Y 結線となっている。
ただし、一次側からみた変圧器の 1 相当たりの抵抗は 0.05 Ω、リアクタンスは 7 Ω、故障が発生した線路の 1 線当たりのインピーダンスは (0.20+j0.45) Ω/km とし、変圧器一次電圧側の線路インピーダンス及びその他の値は無視するものとする。
(b) 短絡前に、22 kV に保たれていた三相変圧器の母線の線間電圧は、三相短絡故障したとき、何 kV に低下するか。電圧の値 [kV] として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
選択肢
解説
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三相短絡点の電圧は 0 なので、変圧器二次側母線の相電圧は、母線から短絡点までの線路インピーダンスによる電圧降下に等しい。
① 線路インピーダンス(1 線当たり、0.5 km)
|Z_l| = 0.5 × √(0.20² + 0.45²) = 0.5 × √0.2425 ≒ 0.5 × 0.4924 ≒ 0.2462 Ω
② (a) の短絡電流 I_s ≒ 12 597 A を用いて、母線の相電圧
V_p = I_s × |Z_l| ≒ 12 597 × 0.2462 ≒ 3 102 V
③ 線間電圧
V = √3 × V_p ≒ 1.732 × 3 102 ≒ 5 372 V ≒ 5.37 kV
(検算: インピーダンス比で分圧すると V = 22 × |Z_l| / |Z| ≒ 22 × 0.2462 / 1.0083 ≒ 5.37 kV)
よって最も近いのは (3) 5.37 kV である。
各選択肢の解説
- (1)
8.70
誤り。8.70 kV は、故障点までの線路長を 0.5 km ではなく 1 km として分圧した値と一致する(線路 1 km のとき合成インピーダンス √(0.2056² + 1.2278²) ≒ 1.2449 Ω、22 × 0.4924 / 1.2449 ≒ 8.70 kV)。故障点は変電所から 500 m = 0.5 km なので、正しくは約 5.37 kV である。
- (2)
2.72
誤り。2.72 kV は (5) の 4.71 kV の約 1/√3 にあたる(4.71 / √3 ≒ 2.72)が、正しい短絡時の母線電圧は線間電圧で約 5.37 kV、相電圧で約 3.10 kV であり、そのどちらとも一致しない。
- (3)
5.37
正しい。V = √3 × I_s × |Z_l| ≒ 1.732 × 12 597 × 0.2462 ≒ 5 372 V ≒ 5.37 kV。
- (4)
1.34
誤り。1.34 kV は短絡前電圧 22 kV の約 6 % にすぎない。短絡時の母線電圧は分圧比 |Z_l| / |Z| ≒ 0.2462 / 1.0083 ≒ 0.244 で決まり、22 kV の約 24 %(約 5.37 kV)となるので、これより大幅に小さい。
- (5)
4.71
誤り。4.71 kV は (2) の 2.72 kV の約 √3 倍にあたる(2.72 × √3 ≒ 4.71)が、短絡前電圧 22 kV に対する比は約 0.214 で、分圧比 |Z_l| / |Z| ≒ 0.244 から求まる正しい線間電圧約 5.37 kV とは一致しない。
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