図1の回路は、トランジスタのベースに信号波(低周波の変調信号)の電圧を加えて振幅変調を行う、いわゆるベース変調方式の原理図である(ア=ベース)。
令和6年度 上期 第三種電気主任技術者 理論 問18(b)
図1は、トランジスタの (ア) に信号波の電圧を加えて振幅変調を行う回路の原理図である。電圧v1,v2,v3の波形を同時に計測したところ図2のいずれかであった。このとき,電圧v1の波形は (イ) 、v2の波形は (ウ) 、v3の波形は (エ) である。図2のグラフより振幅変調の変調率を計算すると約 (オ) %となる。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,図2のそれぞれの電圧波形間の位相関係は無視するものとする。

選択肢
解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
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解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
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トランジスタ左側では、v1が変成器を介してベースにつながり、v2は変成器二次側下端と直流電源E1との間に直列に接続されている。出力v3はコレクタ側のタンク回路(LC並列回路)からトランスを介して取り出される、振幅変調された信号である。
図2には3種類の波形が示されている。(a)は振幅が一定で低い周波数の正弦波、(b)は搬送波の振幅が包絡線(破線)に沿って周期的に変化する振幅変調波(外側の包絡線幅8V、内側の最も振幅が小さい部分の幅4Vと表記)、(c)は振幅が一定で高い周波数の正弦波(無変調の搬送波に相当する波形)である。
図1では変成器二次巻線・v2・E1が同じベース-エミッタ間ループに直列に入る。そのうち変成器で結合されるv1は高周波の搬送波であり、バイアス電源E1と直列のv2はベースの動作点を低周波で変化させる信号波である。コレクタ側のLC並列回路は搬送波周波数付近に同調し、信号波によって振幅が変化した搬送波成分を選択してv3として取り出す。したがってv3は振幅変調波となる。この対応から、v1は図2(c)(高周波・一定振幅=搬送波)、v2は図2(a)(低周波・一定振幅=信号波)、v3は図2(b)(振幅変調波=出力)となる(イ=図2(c)、ウ=図2(a)、エ=図2(b))。
図2(b)の8Vは包絡線の山から谷までのピーク間値2Vmax、4Vは最も狭い部分のピーク間値2Vminであり、振幅そのものはVmax=4V、Vmin=2Vである。変調率では係数2が分子・分母で打ち消し合う。
変調率 m = (Vmax − Vmin) / (Vmax + Vmin) × 100[%]
= (2Vmax − 2Vmin) / (2Vmax + 2Vmin) × 100
= (8 − 4) / (8 + 4) × 100
= 4 / 12 × 100
≒ 33.3 ≒ 33[%]
となる(オ=33)。
(ア)=ベースの肢は(3)と(5)だが、(3)は出力v3を無変調の図2(c)としており成り立たない。よって、(ア)ベース、(イ)図2(c)、(ウ)図2(a)、(エ)図2(b)、(オ)33の組合せである(5)が正しい。
各選択肢の解説
- (1)
(ア)コレクタ (イ)図2(c) (ウ)図2(a) (エ)図2(b) (オ)33
(イ)図2(c)、(ウ)図2(a)、(エ)図2(b)、(オ)33はいずれも正しい組合せと一致するが、(ア)が「コレクタ」となっており誤り。図1の回路は信号波電圧をベースに加えて振幅変調を行う構成であり、コレクタに信号波を加える回路ではない(コレクタ側は出力v3を取り出すタンク回路に接続されている)。(ア)の誤りにより不正解。
- (2)
(ア)コレクタ (イ)図2(c) (ウ)図2(b) (エ)図2(a) (オ)67
(ア)コレクタは誤り(正しくはベース)。さらに(ウ)図2(b)、(エ)図2(a)は、振幅変調波と信号波の割当てが誤り(v2に振幅変調波、v3に低周波信号波を対応させている)。(オ)67は、変調率の計算で例えば分子をピーク間値の差(2Vmax−2Vmin)ではなく最大ピーク間値2Vmax(=8V)のままとして 8/(8+4)×100≒67 と計算すると得られる誤った値であり、正しい計算式(Vmax−Vmin)/(Vmax+Vmin)を用いていない。複数箇所の誤りにより不正解。
- (3)
(ア)ベース (イ)図2(b) (ウ)図2(a) (エ)図2(c) (オ)50
(ア)ベースは正しいが、(イ)図2(b)、(エ)図2(c)が入れ替わっており誤り(出力である振幅変調波v3の波形を入力v1に、逆に搬送波の波形をv3に割り当てる誤り)。(オ)50は、変調率をピーク間値の差を最大ピーク間値だけで割り、(8−4)/8×100=50 のように、分母を(Vmax+Vmin)ではなくVmaxのみとして計算した場合の誤った値である。複数箇所の誤りにより不正解。
- (4)
(ア)エミッタ (イ)図2(b) (ウ)図2(c) (エ)図2(a) (オ)67
(ア)エミッタは誤り。図1のエミッタはE1・E2の接続点に直接つながる一方、信号源v2は変成器二次側下端とE1の間にあり、ベース側の動作点を変化させる。さらにv1・v2・v3の波形割当てが全て正しい対応と異なり、(オ)67も誤った計算値である。
- (5)
(ア)ベース (イ)図2(c) (ウ)図2(a) (エ)図2(b) (オ)33
(ア)ベース、(イ)図2(c)、(ウ)図2(a)、(エ)図2(b)、(オ)33のすべてが回路の動作(信号波をベースに加えて振幅変調を行い、搬送波と信号波からコレクタ側で変調波を得る)および変調率の正しい計算式 m=(2Vmax−2Vmin)/(2Vmax+2Vmin)×100=(8−4)/(8+4)×100≒33 と整合しており、正しい組合せである。
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