【前提】
「全負荷」とは、変圧器を定格容量で運転している状態、つまり定格電圧で定格電流が流れている状態とみなす。本問で変わるのは負荷力率だけである。電圧と電流はどちらの場合も定格のままとして計算する。
ある変圧器の負荷力率100 %における全負荷効率は98 %である。この変圧器の負荷力率 80 %における全負荷効率[%]の値として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
【前提】
「全負荷」とは、変圧器を定格容量で運転している状態、つまり定格電圧で定格電流が流れている状態とみなす。本問で変わるのは負荷力率だけである。電圧と電流はどちらの場合も定格のままとして計算する。
変圧器の定格容量(皮相電力)を S とする。
【負荷力率100 %・全負荷のとき】
出力 P₁ = S × 1.0 = S
効率 η₁ = P₁ ÷ (P₁ + 損失) = 0.98 なので、
全損失 W = S ÷ 0.98 − S = S × (1/0.98 − 1) ≒ 0.020408 S
【損失は力率によって変わらない】
前提より、力率が変わっても電圧と電流は定格のままである。このため、
・鉄損(電圧で決まる)は同じ
・銅損(電流の2乗で決まる)は同じ
となる。したがって、力率が 0.8 になっても全損失 W ≒ 0.020408 S は変わらない。
【負荷力率80 %・全負荷のとき】
出力 P₂ = S × 0.8 = 0.8 S
効率 η₂ = 0.8 S ÷ (0.8 S + 0.020408 S)
= 0.8 ÷ 0.820408
≒ 0.9751 → 97.5 %
よって、最も近いものは (3) 97.5 である。
要点:同じ全負荷(同じ電圧・同じ電流)で力率が下がると、損失は同じまま出力(有効電力)だけが減る。そのため効率は下がる。
78.4
誤り。78.4 は 98 × 0.8 の値で、効率に力率を掛けたものになっている。効率は 出力 ÷ (出力 + 損失) で求める量であり、力率を掛けても効率にはならない。正しく計算すると 0.8 ÷ (0.8 + 0.020408) ≒ 97.5 % である。
81.6
誤り。81.6 は 0.8 ÷ 0.98 × 100 の値に一致する。これは効率の定義 出力 ÷ (出力 + 損失) に基づく計算ではない。損失 ≒ 0.020408 S を用いて計算すると、効率は約 97.5 % となる。
97.5
正しい。全負荷では電圧・電流が定格のままなので、鉄損と銅損の合計は力率100 %のときと同じ(≒ 0.020408 S)である。出力は 0.8 S に減るため、効率 = 0.8 ÷ (0.8 + 0.020408) ≒ 97.5 % となる。
98.4
誤り。損失が同じで出力が減るため、力率80 %での効率は力率100 %での98 %より必ず低くなる。98 %を上回る98.4 %はあり得ない。なお 98.4 % は、負荷率を80 %に下げ、全損失を銅損とみなして 0.8² 倍にした場合の計算値(0.8 ÷ (0.8 + 0.64 × 0.020408) ≒ 98.4 %)に一致する。しかし本問で変えるのは負荷率ではなく負荷力率であり、電流は全負荷のまま変わらない。
99.6
誤り。力率が下がっても損失は減らず、出力だけが減るため、効率は98 %より低くなる。98 %を上回る99.6 %はあり得ない。
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