(ア)は文a・cの両方に登場し、(イ)は文a・bの両方に登場するため、各記号は2つの条件を同時に満たす機器でなければならない。
令和6年度 上期 第三種電気主任技術者 機械 問7
次の文章は,一般的な電気機器(変圧器,直流機,誘導機,同期機)の共通点に関する記述である。
a (ア)と(イ)は,磁束の大きさ一定,電源電圧(交流機では周波数も)一定のとき回転速度の変化でトルクが変化する。
b 一次巻線に負荷電流と励磁電流を重畳して流す(イ)と(ウ)は,特性計算に用いる等価回路がよく似ている。
c 負荷電流が電機子巻線を流れる(ア)と(エ)は,界磁磁束と電機子反作用磁束のベクトル和の磁束に比例する誘導起電力が発生する。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
選択肢
解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
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解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
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文a「磁束一定・電源電圧(交流機では周波数も)一定のとき、回転速度の変化でトルクが変化する」に当てはまるのは直流機と誘導機。直流機は界磁磁束と端子電圧が一定なら、回転速度の変化で誘導起電力(逆起電力)が変化し、それに応じて電機子電流=トルクが変化する(トルク-速度特性が右下がりの直線的関係)。誘導機は電源電圧・周波数一定のとき、すべりの変化(=回転速度の変化)に応じてトルクが変化する古典的なトルク-速度(すべり)曲線を持つ。一方、同期機は界磁・電圧・周波数が一定なら定常状態では常に同期速度で回転し、回転速度自体は変化しない(トルクは負荷角の変化で変わる)ため文aに合わない。変圧器はそもそも回転しないため対象外。よって(ア)(イ)={直流機,誘導機}。
補足Layer 3展開閉じる
文b「一次巻線に負荷電流と励磁電流を重畳して流す機器で、特性計算に用いる等価回路がよく似ている」に当てはまるのは誘導機と変圧器。誘導機は「回転するトランス」と呼ばれるほど等価回路(T形等価回路)が変圧器と酷似しており、一次(固定子)巻線には負荷電流成分と励磁(磁化)電流が重畳して流れる。よって(イ)(ウ)={誘導機,変圧器}。
文c「負荷電流が電機子巻線を流れ、界磁磁束と電機子反作用磁束のベクトル和の磁束に比例する誘導起電力が発生する」に当てはまるのは直流機と同期機。両者は共通して「電機子」という用語・構造を持ち(誘導機・変圧器の巻線は一般に電機子と呼ばない)、負荷電流によって電機子反作用磁束が生じ、界磁磁束とのベクトル和に比例する起電力が誘導される。よって(ア)(エ)={直流機,同期機}。
以上の3条件の共通集合をとると、(ア)は文aとcの両方を満たす必要があるので{直流機,誘導機}∩{直流機,同期機}=直流機。(イ)は文aとbの両方を満たす必要があるので{直流機,誘導機}∩{誘導機,変圧器}=誘導機。(ウ)は(イ)=誘導機と文bのペアなので変圧器。(エ)は(ア)=直流機と文cのペアなので同期機。
したがって(ア)=直流機,(イ)=誘導機,(ウ)=変圧器,(エ)=同期機となり、この組合せに一致するのは選択肢(5)である。
各選択肢の解説
- (1)
(ア)誘導機 (イ)直流機 (ウ)変圧器 (エ)同期機
誤り。(ア)を誘導機としているが、誘導機は電機子という概念・用語を持たず、文cの『負荷電流が電機子巻線を流れ、界磁磁束と電機子反作用磁束のベクトル和に比例する誘導起電力が発生する』という記述に当てはまらない。(ア)は文aの{直流機,誘導機}と文cの{直流機,同期機}の両方を満たす直流機でなければならず、この選択肢は成立しない。 (イ)直流機も、一次巻線に負荷電流と励磁電流を重ねて流す文bの条件に当てはまらない。
- (2)
(ア)同期機 (イ)直流機 (ウ)変圧器 (エ)誘導機
誤り。(ア)を同期機としているが、同期機は界磁・電圧・周波数が一定であれば定常時は常に同期速度で回転し、回転速度自体は変化しない(トルクは負荷角によって変化する)ため、文aの『回転速度の変化でトルクが変化する』という記述に当てはまらない。(ア)は文aとの整合性から直流機(または誘導機)でなければならず、この選択肢は成立しない。
- (3)
(ア)直流機 (イ)誘導機 (ウ)同期機 (エ)変圧器
誤り。(ウ)を同期機としているが、文bの『一次巻線に負荷電流と励磁電流を重畳して流し、等価回路がよく似ている』という関係は誘導機と変圧器の組(回転するトランスと呼ばれる類似性)に成立するものであり、同期機の界磁巻線(別回路の直流励磁)には当てはまらない。また(エ)を変圧器としているが、変圧器は回転部・電機子・界磁を持たず、文cの『電機子巻線』『界磁磁束と電機子反作用磁束のベクトル和』という記述に当てはまらない。二重に不整合であり成立しない。
- (4)
(ア)同期機 (イ)直流機 (ウ)誘導機 (エ)変圧器
誤り。(ア)を同期機としているため選択肢2と同様に文aの『回転速度の変化でトルクが変化する』に反する(同期機は定常回転速度が一定)。さらに(エ)を変圧器としているため選択肢3と同様に、変圧器には電機子や界磁の概念がなく文cに当てはまらない。二重に不整合であり成立しない。
- (5)
(ア)直流機 (イ)誘導機 (ウ)変圧器 (エ)同期機
正しい。(ア)=直流機、(エ)=同期機は共に電機子・界磁を持ち、電機子反作用を伴う誘導起電力の議論(文c)に合致する。(ア)=直流機、(イ)=誘導機は共に電圧・周波数一定下で回転速度の変化に応じてトルクが変化する特性(文a)に合致する。(イ)=誘導機、(ウ)=変圧器は励磁電流と負荷電流が一次巻線に重畳して流れ、等価回路が酷似する関係(文b)に合致する。3つの条件をすべて矛盾なく満たす唯一の組合せである。
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