t<0(定常状態、S開放):この間の閉回路は 1V源—1Ω—1H—2F—1Ω の直列ループのみで、直流定常なのでコンデンサは開放とみなせ、ループ電流はI=0。よってインダクタ電流i_L(0⁻)=0。電流0なので両抵抗とインダクタの電圧降下は0であり、節点X(インダクタとコンデンサの接続点)の電位はV(X)=1V。コンデンサ右側の節点Y(右側1Ωの上端)はI=0のため右側抵抗での降下も0でV(Y)=0V。よってコンデンサ電圧V_C=V(X)−V(Y)=1V(X側が高電位)で充電されている。
令和6年度 上期 第三種電気主任技術者 理論 問10
図の回路のスイッチSを t = 0 s で閉じる。電流 i_S [A] の波形として最も適切に表すものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、スイッチSを閉じる直前に、回路は定常状態にあったとする。

選択肢
解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
展開閉じる
解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
詳細Layer 2展開閉じる
t=0でSを閉じると、理想スイッチにより節点Xは共通母線(0V)へ直結され、V(X)=0Vへ強制的に変化する(節点電位はエネルギー蓄積量ではないため瞬時変化が許される)。一方、インダクタ電流i_Lとコンデンサ電圧V_Cは連続性を保つため、i_L(0⁺)=0、V_C(0⁺)=1Vのまま。
補足Layer 3展開閉じる
【インダクタ側枝】V(X)=0が固定されたことで、この枝は単純な直列RL回路(1V源—1Ω—1H—接地)となる。
di_L/dt + i_L = 1 (L=R=1)、i_L(0)=0 より
i_L(t) = 1 − e^(−t) [A] (時定数τ₁=L/R=1s)
【コンデンサ側枝】V(X)=0で固定されるため、この枝は電源を持たない単純なCR直列の放電回路(C=2F, R=1Ω)となる。節点Xから枝へ流れ出す向きを正とする電流をi₂とすると
i₂ = C dV_C/dt, V_C = −i₂R (V(X)=0のため)
これを解くと V_C(t) = V_C(0)e^(−t/RC) = e^(−t/2)、
i₂(t) = −e^(−t/2) [A] (時定数τ₂=RC=2s、負号は実際には母線側からXへ向けて電流が流れ込むことを意味する)
【節点Xでのキルヒホッフ電流則】流入=i_L、流出=i_S+i₂ より
i_S(t) = i_L(t) − i₂(t) = (1 − e^(−t)) − (−e^(−t/2)) = 1 + e^(−t/2) − e^(−t) [A]
この式から:
・t=0直後: i_S(0⁺) = 1+1−1 = 1A(スイッチ電流は連続性の制約を受けないため、開放時の0Aから閉成の瞬間に1Aへ不連続にジャンプする。これはコンデンサに蓄えられていた電圧がスイッチを介して瞬時に放電電流を供給するため)。
・傾き: di_S/dt = −(1/2)e^(−t/2) + e^(−t)。t=0でdi_S/dt=0.5>0のため、そこからさらに増加する。
・極大点: di_S/dt=0 ⇒ e^(−t/2)=0.5 ⇒ t=2ln2≈1.386s、このときi_S=1+0.5−0.25=1.25A(最大値)。
・t→∞: e^(−t/2), e^(−t)→0 のため i_S→1A(これはi_Lの最終値1Aがすべてスイッチを流れ、コンデンサ枝電流が0に収束することと一致)。
以上より波形は、(a)開放時0Aから閉成の瞬間に1Aへ跳躍し、(b)なめらかに単調増加して約1.386sで極大1.25Aに達し、(c)その後は振動することなく単調に減少して1Aへ漸近する——という、振動のない単峰(オーバーシュート1回のみ)の波形になる。これに最も一致するのは(3)である。
各選択肢の解説
- (1)
t<0でi_S=0、t=0で1へ跳び、その後一度だけ1を下回る谷を作って、振動せずに1へ戻る波形。
誤り。原図の波形(1)はt=0で1へ跳んだ後、一度1を下回って戻る。一方、導出したi_S(t)=1+e^(−t/2)−e^(−t)はt≥0で常に1以上。閉成直後の傾きも+0.5 A/sで、1から増加に転じる。
- (2)
t=0で0から出発し、上に凸の指数関数形で単調に増加して1へ近づく波形。
不正解。この波形はt=0でi_S=0から出発し、オーバーシュートなく単調に1へ漸近する。しかし実際にはコンデンサが充電された状態(V_C=1V)でスイッチが閉じるため、スイッチには放電電流が瞬時に流れ込み、i_S(0⁺)=1Aとなる(0からは出発しない)。またその後も一時的に1Aを超えて1.25Aまで増加するため、オーバーシュートを伴わない単調増加という形状とは一致しない。
- (3)
t<0で0、t=0で1へ不連続に跳び、1から滑らかな山を作って1へ戻る波形。
正しい。t<0の0からt=0⁺で1Aへ跳び、その後i_S(t)=1+e^(−t/2)−e^(−t)に従い滑らかな山(最大1.25A)を一つ作って1Aへ戻る。原図の(3)と初期値・形状が一致する。
- (4)
t=0で0から連続してほぼ直線的に立ち上がり、1を横切って1を超える山を作り、1へ戻る波形。
誤り。原図の(4)はt=0で0から連続して立ち上がる。実際には閉成直後、コンデンサに残る1Vの電圧による放電電流1Aがスイッチへ流れ、i_S(0⁺)=1Aとなるため、0→1Aの跳躍が必要。
- (5)
t<0でi_S=0、t=0で1Aへ不連続に跳び、その後ずっと1Aで一定の波形。
誤り。原図の(5)もt<0の0からt=0で1Aへ跳ぶ点は正しい。しかし本回路では、その後i_S(t)=1+e^(−t/2)−e^(−t)に従って1Aを超え、t=2ln2≈1.386 sで最大1.25 Aに達してから1Aへ戻る。(5)は跳躍後ずっと1Aで、この山がないため本回路の応答と一致しない。
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