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第三種電気主任技術者令和7年度 上期法規問 10

令和7年度 上期 第三種電気主任技術者 法規 問10

難度標準

次の文章は,地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(区分開閉器)の SOG 機能のうち SO 動作に関する記述である。

GR 付 PAS は負荷電流を遮断することができるが,(ア)電流のような大きな電流は遮断できないため,GR 付 PAS の(イ)側から受電用遮断器の間で(ア)事故が起きた場合は,PAS の(ウ)命令を一時的に保存して待機状態となる。

一般送配電事業者の配電用変電所の遮断器が動作することによって,配電線の停電を検出し,無電圧になった状態を確認してから(ウ)動作を行う。したがって,配電用変電所の遮断器が再投入された場合でも,既に PAS が(ウ)されているため,配電線の再閉路が成功することとなり,(エ)事故として取り扱われない。

上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

選択肢

解説

結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成

展開
結論Layer 1

SOG は Storage Over Current Ground(過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形)の略である。四国産業保安監督部の講習資料(PDF第124頁、紙面の印刷頁122、スライド番号9・10)に収録された戸上電機製作所のスライドでは、SOG 動作を二つの動作に分けて説明している。一つは G 動作で、地絡事故時に PAS が自動的に開放して事故点を切り離す。このとき電力会社の配電線は停電しない。もう一つは SO 動作で、ロック電流値以上の事故電流が流れた過電流事故時に働く。この場合は、電力側変電所の動作により配電線路が停電して電圧がなくなってから、PAS が自動的に開放して事故点を切り離す。そのため配電線は一度は停電する。

詳細Layer 2
展開

(ア)短絡:本文は、GR 付 PAS は負荷電流は遮断できるが『(ア)電流のような大きな電流』は遮断できないため、(ア)事故が起きた場合は開放命令を保存して待機する、としている。この構図は、上記スライドでいう『過電流事故時(ロック電流値以上の事故電流)』の SO 動作の説明に当たる。一方、同じスライドは地絡事故時を G 動作として、PAS が自動的に開放して事故点を切り離し、配電線は停電しないと説明している。したがって、PAS が遮断できない大きな事故電流が流れて開放命令を保存し、配電線の無電圧を待つという本文の流れに当てはまる典型は短絡事故である。九州産業保安監督部の事故事例資料(PDF第9頁)にも、受電用真空遮断器2次側で原因不明の相間短絡が発生し、地絡継電器の『過電流蓄勢』が作動表示になっていた例が報告されている。なお、同じ頁には、起因として『短絡や地絡』が挙げられた事象で過電流蓄勢動作(SO)により区分開閉器が開放動作した例も記されており、地絡を含む事故であれば必ず G 動作になるとまではいえない。本文の(ア)に入るのは、PAS が遮断できない大きな事故電流の典型である短絡である。

補足Layer 3
展開

(イ)負荷:本文第2段落によれば、PAS が開放された後に配電用変電所の遮断器が再投入されると、配電線の再閉路が成功する。これは PAS の開放によって事故点が配電線から切り離されているということであり、それが成り立つのは事故区間が PAS から見て配電線と反対側、すなわち負荷側にある場合である。もし事故区間が PAS の電源側(配電線側)にあれば、PAS を開放しても事故点は配電線につながったままであり、再閉路は成功しない。したがって、本文の『PAS の(イ)側から受電用遮断器の間』は PAS の負荷側であり、(イ)は負荷である。上記スライドが区分開閉器の設置目的を、高圧需要家の高圧受電設備から発生した事故を電力会社配電線へ波及させないことと説明している点も、これと整合する。補足として、一般的な高圧受電設備の構成でも、PAS は配電線からの引込み点にあり、受電用遮断器はそれより需要家設備側にある。

(ウ)開放:PAS は大きな事故電流を検出すると、開放命令を一時的に保存(蓄勢)して待機する。その後、配電用変電所の遮断器が動作して配電線が停電する。PAS は電圧がなくなったことを確認してから自動的に開放し、事故点を切り離す。電圧がなくなった状態で開くので、PAS が事故電流を自ら遮断するわけではない。このため『遮断』ではなく『開放』が入る。

(エ)波及:上記スライドによれば、区分開閉器の設置目的は、高圧需要家の高圧受電設備から発生した地絡事故・短絡事故を電力会社配電線(他のユーザー)へ波及させないことである。SO 動作では配電用変電所の遮断器が動作するので、配電線は一度停電する。しかし再投入の時点では、事故点を含む需要設備はすでに PAS の開放で切り離されている。そのため配電線の再閉路が成功する。本文はこの帰結を『(エ)事故として取り扱われない』と述べている。ここには、区分開閉器が防ごうとしている事故、すなわち波及事故が入る。

同じスライドは、波及事故を『高圧需要家の高圧受電設備の故障により発生した事故(地絡事故・短絡事故)で、電力会社の配電線へ支障を与え、その配電線につながる全てのユーザーが停電し、社会的に大きな影響をもたらす事故』と説明している。これは機器メーカーによる平易な説明であり、法令上の定義そのものではない。また、この説明だけでは、再閉路までの一時的な停電が波及事故に当たるかどうかは判断できない。再閉路が成功すれば波及事故として取り扱われないという点は、問題文が前提として示している内容である。

実際の事故事例でも、この区別が見て取れる。九州産業保安監督部の資料(PDF第9頁)は、作業者の過失による事故3件の総括として、高圧電気設備の異常やトラブルにより短絡や地絡が発生し、地絡継電器の過電流蓄勢動作(SO)により区分開閉器は正常に開放動作し、電力会社配電線の再閉路は成功したと記している。これら3件は、その後に短絡や地絡の原因調査が十分に行われないまま区分開閉器が投入され、波及事故となったものである。また同じ頁には、『過電流蓄勢』の作動表示が出ていたのに区分開閉器が閉路状態であったため、波及事故となった例もある。

したがって、(ア)短絡、(イ)負荷、(ウ)開放、(エ)波及の組合せである(5)が正しい。

各選択肢の解説

(1)

(ア)短絡 (イ)負荷 (ウ)開放 (エ)配電線

誤り。(ア)短絡、(イ)負荷、(ウ)開放は正しいが、(エ)が誤りである。本文の流れは、PAS がすでに開放して事故点を切り離しているので配電線の再閉路が成功し、その結果として『(エ)事故として取り扱われない』というものである。区分開閉器の設置目的は、高圧受電設備から発生した事故を電力会社配電線(他のユーザー)へ波及させないことにある。再閉路の成功によって取り扱われないとされる事故は、この区分開閉器が防ごうとしている事故、すなわち波及事故である。『配電線』はこの因果に対応する語句ではないので、(エ)には『波及』が入る。

(2)

(ア)短絡 (イ)電源 (ウ)遮断 (エ)波及

誤り。(ア)短絡と(エ)波及は正しいが、(イ)と(ウ)が誤りである。(イ)について、本文第2段落のとおり PAS の開放で事故点が切り離されて配電線の再閉路が成功するのは、事故区間が PAS の負荷側にある場合である。事故区間が PAS の電源側(配電線側)にあれば、PAS を開放しても事故点は配電線につながったままとなり、再閉路は成功しない。したがって PAS から受電用遮断器までの区間は負荷側であり、電源側ではない。(ウ)について、本文のとおり PAS は短絡電流のような大電流を遮断できない。SO 動作は、配電線が無電圧になったことを確認してから PAS を『開放』する動作であり、PAS が事故電流を遮断するわけではない。

(3)

(ア)地絡 (イ)電源 (ウ)遮断 (エ)波及

誤り。(エ)波及のみ正しく、(ア)(イ)(ウ)が誤りである。(ア)について、本文の『(ア)電流のような大きな電流』は、PAS が遮断できないために開放命令を保存して待機する契機となる電流であり、ロック電流値以上の過電流事故、すなわち SO 動作の説明に当たる。戸上電機製作所のスライドでは、地絡事故時は G 動作として、PAS が自動的に開放し配電線は停電しないと説明されている。蓄勢して配電線の無電圧を待つという本文の流れに当てはまる典型は短絡であり、地絡ではない。(イ)電源と(ウ)遮断は、(2)と同じ理由で誤りである。

(4)

(ア)地絡 (イ)電源 (ウ)遮断 (エ)配電線

誤り。(ア)(イ)(ウ)(エ)のすべてが誤りである。(ア)について、本文の空欄は PAS が遮断できない大きな事故電流で開放命令を保存して待機する SO 動作の説明であり、戸上電機製作所のスライドが地絡事故時を G 動作(PAS が自動的に開放し、配電線は停電しない)として説明していることからも、この流れに当てはまる典型は短絡である。(イ)電源と(ウ)遮断は(2)と同じ理由で誤りである。(エ)について、本文は再閉路の成功によって『(エ)事故として取り扱われない』と述べており、ここに入るのは区分開閉器が防ごうとしている波及事故である。『配電線』はこの因果に対応しない。正しくは、(ア)短絡、(イ)負荷、(ウ)開放、(エ)波及である。

(5)

(ア)短絡 (イ)負荷 (ウ)開放 (エ)波及

正しい。(ア)短絡、(イ)負荷、(ウ)開放、(エ)波及の組合せは、SO 動作の説明と一致する。PAS の負荷側(PAS から受電用遮断器までの区間)で短絡事故が起き、ロック電流値以上の事故電流が流れると、短絡電流を遮断できない PAS は開放命令を保存して待機する。配電用変電所の遮断器の動作で配電線が無電圧になったことを確認してから、PAS が開放する。配電線は一度停電するが、再投入の時点では事故点が切り離されているので、再閉路が成功する。このため、問題文のとおり波及事故としては取り扱われない。

この解説は?
AI生成

解説は公式の問題文・公式解答を基に作成しています。 事実誤認・選択肢の取り違え・最新法令の反映漏れ等を含む可能性があるため、 重要な判断は必ずリンク先の公式資料でご確認ください。

最終更新:

出典:令和7年度上期第三種電気主任技術者試験 法規科目 問10。問題文・選択肢を読みやすく整形。

検証プロセス・誤り報告フローは 運営透明性レポートで公開しています。

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