EVM(Earned Value Management: 出来高管理)では、CPI(Cost Performance Index: コスト効率指数)が1未満であれば、実績コストが予算を上回っていることを示します。本問ではCPIが0.9なので、コストは予算を超過しており、BAC(Budget at Completion: 完成時総予算)を超えるおそれがあります。一方、SPI(Schedule Performance Index: スケジュール効率指数)が1を超えている(本問では1.1)場合は、スケジュールが予定より先行している、つまり余裕があることを意味します。TCPI(To Complete Performance Index: 残作業効率指数)は、BACを基準とした場合、残りの作業を予算内で完了するために必要なコスト効率を示し、1.2は残作業で計画よりも高いコスト効率(1.2倍)が求められることを意味します。
令和7年度 春期 高度試験共通 午前I 問18
EVM を使用してマネジメントをしているプロジェクトで、進捗に関する指標値は次のとおりであった。このプロジェクトに対する適切な評価と対策はどれか。
〔進捗に関する指標値〕
CPI(コスト効率指数): 0.9
SPI(スケジュール効率指数): 1.1
BAC(完成時総予算)に基づく TCPI (残作業効率指数): 1.2
選択肢
解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
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解説
結論 → 詳細 → 補足 の 3 層構成
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アは、CPIが0.9であるにも関わらず「コストが予算を超えているが」という前半は合っていますが、後半の「残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はない」という部分がTCPI 1.2と矛盾するため不適切です。また、CPIに基づいて完成までのコストを予測するのは、現状のコスト効率が維持されると仮定するものであり、TCPIの示す残作業での必要効率とは異なります。
補足Layer 3展開閉じる
イは、CPI 0.9から「コストが予算を超えているので、完成時総予算を超過するおそれがある」と正しく評価し、SPI 1.1から「スケジュールには余裕があるので」と進捗状況を正確に捉えています。そして、TCPI 1.2を踏まえ、残作業のコスト効率を上げる対策(例えば、より効率的な作業方法の導入)や、予期せぬ事態に備えるコンティンジェンシー予備費(Contingency Reserve: 特定のリスク発生に備えて計上される追加予算)の使用を検討するという、現実的な対策を示しており、最も適切な評価と対策です。
ウは、CPI 0.9にも関わらず「コストには余裕がある」としている点が誤りです。また、SPI 1.1でスケジュールには余裕があるため、ファストトラッキング(Fast Tracking: スケジュール遅延解消のため、本来並行しない作業を並行して実施すること)のようなスケジュール短縮策を優先する理由が薄いです。
エは、CPI 0.9にも関わらず「コストには余裕がある」としている点が誤りです。SPI 1.1でスケジュールに余裕があるため、クラッシング(Crashing: スケジュール遅延解消のため、追加コストをかけて作業期間を短縮すること)のようなスケジュール短縮策を優先する理由も薄いです。
各選択肢の解説
- ア
コストが予算を超えているが、スケジュールには余裕があり、残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないので、CPI に基づいて完成までに必要なコストを予測する。
誤りです。CPI 0.9からコスト超過、SPI 1.1からスケジュールの余裕を読む点は正しいです。しかしBAC基準のTCPIが1.2と1を超えているため、予算内で完了するには残作業のコスト効率を計画の1.2倍に上げる必要があり、「上げる必要はない」は誤りです。
- イ
コストが予算を超えているので、完成時総予算を超過するおそれがあるが、スケジュールには余裕があるので、残作業のコスト効率を上げる対策を検討するか、コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
正しいです。CPI 0.9<1なので実コストが出来高を上回り、このままではBACを超過するおそれがあります。SPI 1.1>1なのでスケジュールは先行しています。TCPI 1.2はBAC内に収めるには残作業の効率を計画より2割高める必要を示すので、効率向上策かコンティンジェンシー予備費の使用を検討するのが適切です。
- ウ
コストには余裕があるが、スケジュールが予定より遅れており,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要があるので、ファストトラッキングなどを用いたスケジュール短縮を検討するとともに、コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
誤りです。CPIが0.9と1未満なのでコストは超過しており「余裕がある」は誤りです。またSPIが1.1と1を超えているのでスケジュールは先行しており、「遅れている」とする評価も、作業を並行させるファストトラッキングによる短縮策も状況に合いません。
- エ
コストには余裕があるので、残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないが、スケジュールが予定より遅れているので、クラッシングなどを用いたスケジュール短縮を検討する。
誤りです。CPI 0.9はコスト超過を示し、TCPI 1.2は残作業の効率向上が必要なことを示すので、「コストに余裕があり効率を上げる必要はない」は誤りです。SPI 1.1でスケジュールは先行しており、追加資源を投入して期間を縮めるクラッシングは不要で、コストをさらに悪化させます。
分野「プロジェクトマネジメント」の学習ポイント
この問題の理解を「分野全体の力」に広げるための足がかり
- 何が問われるか
- PMBOK の 10 知識エリアと、スコープ/スケジュール/コスト/リスク管理の基本手法。
- 学習の進め方
- EVM(PV/EV/AC/SV/CV)の計算は頻出。クリティカルパス法と PERT を手で計算できるようにする。
- 関連キーワード
- PMBOKEVMWBSクリティカルパスPERTリスク登録簿
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