占有回収の訴えは、占有者がその占有を奪われたときに限り提起できる(民法200条1項)。
令和6年度 10月試験 宅地建物取引士 学科 問7
法令基準日: 2024-04-01(この日の制度で解答)
Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結され、Bが甲建物の引渡しを受けた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
選択肢
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騙されて任意に占有を移転した場合は「奪われた」にあたらない(大判大正11年11月27日)。Bの任意の移転によって、Aの間接占有(181条)も侵奪されたことにはならない。よって選択肢1が正しい。
各選択肢の解説
- ア
CがBに対し甲建物をAから買受けたとの虚偽の話をしたので、これを信じたBが甲建物の占有を任意にCに移転した場合、AはCに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することはできない。
正しい。詐欺により任意に占有を移転した場合は占有の侵奪にあたらない(民法200条1項、大判大正11年11月27日)。直接占有者Bが任意に移転している以上、間接占有者Aも占有回収の訴えを提起できない。
- イ
Bが、Aの甲建物への立ち入りを建物入り口を閉ざして拒んだときは、Aは甲建物の間接占有が侵奪されたものとして、Bに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することができる。
誤り。Bは従前から甲建物を直接占有しており、立入りを拒んでも所持の移転は生じていない。Aの占有を「奪った」(民法200条1項)とはいえず、Aは占有回収の訴えによる返還請求はできない。
- ウ
Bが死亡して、DがBを単独相続した場合、Dは相続開始を知るまでは、Bによる甲建物の占有を承継しない。
誤り。被相続人の占有は、相続人が相続開始を知ったか否かにかかわらず、当然に相続人に承継される(民法896条、最判昭和44年10月30日・民集23巻10号1881頁)。
- エ
AとBのいずれもが死亡した場合、本件契約は当然に終了する。
誤り。賃貸借は当事者の死亡によって終了する旨の規定はない。貸主・借主の地位はそれぞれの相続人に承継される(民法896条)。借主の死亡で終了するのは使用貸借である(597条3項)。
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